発熱は、それ単独で起こることは少なく、多くの場合、他の症状を伴います。そして、その「発熱以外の症状」こそが、どの診療科を受診すべきかを判断するための、非常に重要な手がかりとなります。ご自身の体のサインに耳を澄まし、最もつらい症状は何かを見極めることで、より専門的な治療にスムーズにたどり着くことができます。発熱+喉の激しい痛み、鼻水、鼻づまりこの場合は、「耳鼻咽喉科」が非常に良い選択肢となります。喉や鼻は、まさに耳鼻咽喉科の専門領域です。扁桃炎や咽頭炎、副鼻腔炎などが原因である可能性が高く、専門医が喉や鼻の中を直接観察し、的確な診断と処置(薬の塗布や吸引など)を行ってくれます。発熱+ひどい咳、色のついた痰、息苦しさ、胸の痛みこれらの症状は、炎症が気管支や肺といった「下気道」にまで及んでいるサインです。この場合は、「呼吸器内科」の受診を強くお勧めします。単なる風邪ではなく、気管支炎や肺炎の可能性を考慮し、胸部レントゲン検査や聴診などで詳しく調べる必要があります。発熱+腹痛、下痢、嘔吐胃腸に症状が集中している場合は、「消化器内科」が専門です。ウイルス性胃腸炎(お腹の風邪)や、細菌性の食中毒などが考えられます。脱水症状を防ぐための点滴や、症状に応じた整腸剤などが処方されます。発熱+排尿時の痛み、頻尿、残尿感、背中や腰の痛みこれらの症状は、尿路感染症のサインです。特に、高熱と背中の痛みを伴う場合は、腎臓にまで炎症が及ぶ「腎盂腎炎」の可能性があり、速やかな治療が必要です。専門は「泌尿器科」ですが、まずは内科でも対応可能です。発熱+全身の発疹麻疹(はしか)や風疹、あるいは薬疹(薬のアレルギー)など、様々な病気が考えられます。まずは「皮膚科」あるいは「内科」に相談しましょう。感染力の強い病気の可能性もあるため、受診前に医療機関に電話で連絡し、症状を伝えておくと、院内での感染対策がスムーズに行えます。このように、発熱という共通の症状に、どの症状が加わるかによって、原因は大きく異なってきます。自分の体が出しているサインを正確に医師に伝えることが、正しい診断への第一歩となるのです。
喉の痛み、咳、腹痛…発熱に「伴う症状」で選ぶ診療科