長年、私の右足のふくらはぎには、青い血管がミミズのようにうねっていました。母も同じような足だったので、「これは遺伝だから仕方がない」と、半ば諦めていました。しかし、五十代に入ってから、夕方になると足がパンパンにむくみ、重くだるくて、夜中に何度もこむら返りで目が覚めるようになりました。スカートを履くのもためらわれ、夏でも足を見せるのが憂鬱でした。このままではいけない。そう思った私は、インターネットで「下肢静脈瘤」について調べ、専門のクリニックの存在を知りました。私が選んだのは、「日帰りレーザー治療」を専門とする、血管外科のクリニックでした。初診の日、私は少し緊張しながら診察室に入りました。医師は、私の足を丁寧に診察した後、超音波(エコー)検査を行いました。画面には、足の血管の断面が映し出され、医師は「ここを見てください。血液が逆流しているのがわかりますね。これが、だるさやむくみの原因です」と、わかりやすく説明してくれました。そして、「あなたの静脈瘤は、レーザー治療で、日帰りで治すことができますよ」と言ってくれました。手術と聞いて身構えていた私にとって、「切らずに、日帰りで」という言葉は、大きな安心材料でした。手術当日。私は、指定された時間にクリニックへ行きました。手術着に着替え、手術室へ。足に麻酔の注射を数カ所打たれましたが、痛みはその程度でした。手術が始まると、医師や看護師さんが、「今からファイバーを入れますね」「麻酔を追加しますね」と、常に声をかけてくれるので、不安は全くありませんでした。レーザーで焼いている間も、痛みは感じず、時々、何かが焦げるような匂いがするだけでした。手術時間は、一時間もかからなかったと思います。術後は、弾性包帯を巻かれ、しばらく休憩した後、自分の足で歩いて帰宅することができました。翌日からは、シャワーも可能で、日常生活にほとんど制限はありません。あれほど悩まされていた、夕方のだるさや、夜中のこむら返りは、手術後、嘘のように消え去りました。そして、数ヶ月後には、ボコボコと浮き出ていた血管も、すっかり目立たなくなっていました。あの時、勇気を出して一歩を踏み出して、本当に良かった。今、私は、何の気兼ねもなく、好きなファッションを楽しんでいます。