高熱と、耳の下から顎にかけての、経験したことのないような腫れと痛み。症状からして、どうやら「おたふくかぜ」に感染してしまったようだ。そう思った時、大人はどの診療科を受診するのが最も適切なのでしょうか。子供であれば迷わず小児科ですが、大人の場合は、症状や状況に応じて、いくつかの選択肢が考えられます。まず、最も一般的で、最初の相談窓口として適しているのが「内科」です。内科医は、発熱や倦怠感といった全身症状を診察し、おたふくかぜの診断を下すことができます。おたふくかぜには特効薬がないため、治療は、つらい症状を和らげる対症療法が中心となります。内科では、高熱や頭痛に対する解熱鎮痛剤や、痛みで食事が摂れない場合の点滴など、全身状態を管理するための適切な処置を受けることができます。また、他の感染症(例えば、伝染性単核球症など、似た症状を示す病気)との鑑別も行ってくれます。次に、耳下腺や顎下腺の腫れ、痛みが特に強い場合は、「耳鼻咽喉科」も専門の診療科となります。耳鼻咽喉科医は、首周りの構造の専門家です。腫れているのが、本当におたふくかぜの原因である耳下腺なのか、あるいは化膿して膿がたまる「化膿性耳下腺炎」や、唾液の通り道に石ができる「唾石症」、あるいはリンパ節の腫れではないか、といった鑑別診断を得意としています。超音波検査などで、腫れの内部の状態を詳しく調べることも可能です。そして、もし、おたふくかぜの合併症を疑うような、危険なサインが現れた場合は、状況が変わってきます。「激しい頭痛」と「嘔吐」が続く場合は、髄膜炎の可能性があるため、「神経内科」や、入院設備のある総合病院の受診が必要です。男性で、「睾丸の激しい痛みと腫れ」が現れた場合は、精巣炎が疑われるため、「泌尿器科」が専門となります。とはいえ、最初にどの科に行くべきか迷ったら、まずはかかりつけの「内科」に相談するのが最もスムーズです。そこで診断を受け、もし合併症の兆候が見られれば、適切な専門科へ紹介してもらう、という流れが一番確実で安心な方法と言えるでしょう。
大人がおたふかぜに、何科を受診すれば良い?