健康知識と医療の基本をわかりやすく解説

2025年9月
  • トイレが近い悩みは何科へ相談すべきか

    知識

    日中のトイレの回数が以前より明らかに増えた、夜中に何度もトイレに起きてしまい熟睡できない。そんな「トイレが近い」という悩みは、デリケートな問題なだけに、誰にも相談できずに一人で抱え込んでいる方も少なくありません。しかし、その症状の裏には、治療によって改善できる病気が隠れている可能性もあります。では、トイレの回数が多いと感じた時、一体何科の病院を受診すれば良いのでしょうか。まず、最も専門的にこの問題を扱ってくれるのが「泌尿器科」です。泌尿器科は、尿を作る腎臓、尿を運ぶ尿管、尿を溜める膀胱、そして尿を排出する尿道といった、尿路全体の病気を診るエキスパートです。男性であれば前立腺肥大症、女性であれば過活動膀胱や骨盤底筋の緩み、あるいは男女共通の膀胱炎など、頻尿を引き起こす多くの病気が泌尿器科の領域です。専門的な検査を通じて、頻尿の直接的な原因を突き止め、薬物療法や生活指導、行動療法といった適切な治療を提案してくれます。特に、排尿時の痛みや残尿感、尿漏れといった他の症状を伴う場合は、迷わず泌尿器科を受診しましょう。女性の場合は、「婦人科」も選択肢の一つとなります。子宮筋腫や卵巣嚢腫といった婦人科系の病気で、大きくなった子宮や卵巣が膀胱を圧迫し、頻尿の原因となっていることがあるからです。また、更年期におけるホルモンバランスの変化が、頻尿に関係していることもあります。婦人科系の検診も兼ねて、まずは婦人科で相談してみるのも良いでしょう。さらに、意外かもしれませんが「内科」も重要な窓口です。特に、トイレの回数とともに、「異常に喉が渇く」「飲む水の量が増えた」といった症状がある場合は、糖尿病の可能性があります。血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿の量と回数が増えるのです。まずはかかりつけの内科で相談し、全身的な病気がないかを確認した上で、必要であれば専門の泌尿器科を紹介してもらうという流れも、非常に賢明な選択と言えます。

  • インフルエンザの登園・登校は何日休む?

    医療

    子供がインフルエンザと診断されたら、家庭での看病とともに、親が考えなければならないのが、いつから保育園や学校に再び通わせることができるのか、という問題です。インフルエンザは、感染力が非常に強い「第二種の感染症」として、学校保健安全法で出席停止期間が明確に定められています。これは、本人の回復のためだけでなく、集団生活の場での感染拡大を防ぐために、非常に重要なルールです。現在の出席停止期間の基準は、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあっては三日)を経過するまで」とされています。少し複雑に聞こえますが、二つの条件を両方ともクリアする必要がある、ということです。具体的に見ていきましょう。まず、「発症した後五日」という条件です。ここでの「発症日」は、症状(通常は発熱)が出現した日を「〇日目」として数えます。例えば、月曜日に発熱した場合、月曜が〇日目、火曜が一日目となり、五日を経過するのは、土曜日ということになります。そして、もう一つの条件が「解熱した後二日(幼児は三日)」です。ここでの「解熱」とは、三十七度五分未満の平熱になった状態を指します。例えば、水曜日に熱が下がった場合、木曜日が解熱後一日目、金曜日が二日目となります。この二つの条件を、両方とも満たした時点で、初めて登園・登校が再開できます。先ほどの例で言えば、月曜に発症し、水曜に解熱した場合、「発症後五日」の条件を満たすのは土曜日から、「解熱後二日」の条件を満たすのは金曜日からとなるため、より遅い方、つまり土曜日から登校可能、ということになります。もし、木曜まで熱が続いた場合は、「解熱後二日」は土曜日となり、登校できるのは同じく土曜日からとなります。この基準は、あくまで最低限のものです。登園・登校を再開する際には、医師の診察を受け、周囲への感染力がないことを証明する「治癒証明書」や「登園許可書」の提出を求められることがほとんどです。自己判断で登校させず、必ず医師の許可を得るようにしましょう。

  • トイレの回数を減らすための生活習慣

    生活

    トイレの回数が多いという悩みは、必ずしも病気が原因とは限りません。日々の何気ない生活習慣が、頻尿を引き起こしているケースも非常に多く見られます。薬や治療に頼る前に、まずはご自身のライフスタイルを見直し、改善できる点がないか探してみましょう。いくつかの簡単な工夫で、トイレの悩みは大きく改善する可能性があります。まず、基本となるのが「水分の摂り方」です。健康のためにと、一日に二リットル以上の水を飲むことを心がけている方もいるかもしれませんが、一度にがぶ飲みするのは避けましょう。膀胱が急激に満たされ、すぐに尿意を催してしまいます。水分は、コップ一杯程度を、一日のうちにこまめに分けて摂るのが賢明です。また、就寝の二時間から三時間前からは、水分の摂取を控えるようにすると、夜間頻尿の改善に繋がります。次に、見直したいのが「飲み物の種類」です。コーヒーや紅茶、緑茶などに含まれるカフェインや、ビールなどのアルコールには、強い利尿作用があります。これらの飲み物を好む方は、飲む量や時間帯を意識するだけでも、トイレの回数は変わってくるはずです。例えば、午後のコーヒーをカフェインレスのものに変えたり、寝る前の晩酌を控えたりするなどの工夫を試してみましょう。そして、意外と見過ごされがちなのが「体の冷え」です。体が冷えると、血管が収縮し、体は余分な水分を尿として排出しようとします。また、膀胱そのものが冷えによって刺激され、過敏になることもあります。腹巻きやカイロでお腹周りを温めたり、温かい飲み物や根菜類など、体を温める食事を心がけたり、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かる習慣をつけることも、頻尿対策として非常に有効です。さらに、女性や中高年の男性に特におすすめなのが、「骨盤底筋トレーニング」です。尿道を締める役割を持つ骨盤底筋を鍛えることで、尿意を我慢する力を高めることができます。これらの生活習慣の改善は、すぐに劇的な効果が現れるものではありませんが、根気強く続けることで、あなたのトイレの悩みを根本から解決する手助けとなってくれるはずです。