健康知識と医療の基本をわかりやすく解説

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  • 子供のインフルエンザ!知っておきたい初期症状

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    季節の変わり目、特に冬場になると親として気になるのが、子供のインフルエンザです。普通の風邪とは異なり、急激に症状が悪化することがあるため、その初期症状を見逃さないことが何よりも重要になります。では、子供のインフルエンザは、どのようなサインで始まるのでしょうか。最も特徴的な初期症状は、「突然の高熱」です。さっきまで元気に遊んでいたのに、急にぐったりし始め、体温を測るとあっという間に三十八度以上の高熱が出ます。三十九度から四十度に達することも珍しくありません。この「突然」というのが、だらだらと熱が上がる普通の風邪との大きな違いです。そして、高熱とほぼ同時に、「強い全身症状」が現れます。具体的には、体中の関節が痛む「関節痛」や、筋肉が痛む「筋肉痛」、そして、叩かれるような「頭痛」です。小さな子供は、これらの痛みをうまく言葉で表現できないため、「足が痛い」「お腹が痛い」と訴えたり、あるいは理由もなく泣き続けたり、機嫌が異常に悪くなったりすることがあります。また、インフルエンフザウイルスは、全身に強い炎症を引き起こすため、極度の「倦怠感」に襲われます。いつもは元気いっぱいの子供が、ぐったりとして動かなくなり、食欲も全くなくなるのが典型的なパターンです。一方で、咳や鼻水といった、いわゆる風邪症状(呼吸器症状)は、発熱から少し遅れて、一日後か二日後くらいから現れ始めることが多いのも特徴です。つまり、インフルエンザの始まりは、咳や鼻水といった局所的な症状ではなく、突然の高熱と、全身を襲う痛みやだるさなのです。もし、あなたの子供が、これらの「突然の高熱」と「強い全身症状」というサインを示したら、それはインフルエンザの始まりかもしれません。自己判断で様子を見ずに、速やかに小児科を受診し、適切な診断と治療を受けることが、重症化を防ぐための鍵となります。

  • これってインフルエンザ?普通の風邪との見分け方

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    子供が熱を出すと、親としては「これはただの風邪なのか、それともインフルエンザなのか」と、心配になるものです。特に、インフルエンザは重症化のリスクもあるため、早期に見分けて適切な対応をしたいと考えるのは当然のことでしょう。いくつかのポイントを押さえることで、ある程度の見当をつけることが可能です。最大の見分け方のポイントは、「症状の始まり方と進行の速さ」です。普通の風邪(感冒)は、比較的ゆっくりと症状が現れます。喉のイガイガや鼻水、くしゃみといった局所的な症状から始まり、熱も三十七度台の微熱から、だらだらと上がっていくことが多いです。一方、インフルエンザは、突然、悪寒とともに三十八度以上の高熱が出る「突発性高熱」で発症します。症状の進行が非常に急激で、「さっきまで元気だったのに、急にぐったりした」というのが典型的なパターンです。次に、「全身症状の強さ」も大きな違いです。風邪でも体のだるさを感じることはありますが、インフルエンザの場合は、そのレベルが全く異なります。体を動かすのもつらいほどの強い倦怠感、そして、関節痛や筋肉痛、頭痛といった全身の痛みが、高熱と同時に現れるのが特徴です。子供は、これらの痛みをうまく伝えられず、ただひたすら機嫌が悪く、泣き続けることもあります。そして、「呼吸器症状が現れるタイミング」も参考になります。風邪は、咳や鼻水といった症状が初期から見られますが、インフルエンザでは、これらの症状は、高熱が出てから一日か二日遅れて現れるか、あるいは比較的軽いことが多いです。もちろん、これらはあくまで一般的な傾向であり、個人差もあります。特に乳幼児の場合は、典型的な症状が出そろわないことも少なくありません。最終的な診断は、医療機関での迅速検査によってなされます。しかし、これらの見分け方のポイントを知っておくことで、「これは普通の風邪とは違うかもしれない」と早期に受診の判断をすることができ、抗インフルエンザ薬を効果的なタイミングで服用できる可能性が高まります。

  • 私がトイレの回数で悩まなくなった理由

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    気づけば、外出先のトイレの場所を常に頭の中でマッピングしている自分がいました。電車に乗る前、会議が始まる前、映画を見る前。とにかく、少しでもトイレに行けない状況になるのが怖くて、その前に必ずトイレに行っておかないと安心できない。そして、そんな時に限って、突然、我慢できないほどの強い尿意に襲われるのです。これは、四十代半ばを過ぎた頃から始まった、私の密かな悩みでした。最初は、冷え性だから、あるいはコーヒーの飲み過ぎだろうと、あまり気にしないようにしていました。しかし、症状は徐々にエスカレートし、友人との長時間のドライブや、観劇といった、かつての楽しみさえも、トイレの心配が先に立って心から楽しめなくなってしまいました。生活の質が明らかに低下している。このままではいけない。そう思った私は、恥ずかしさをこらえ、勇気を出して女性泌尿器科のクリニックを予約しました。診察室で、恐る恐る自分の症状を話すと、女性の先生は優しく頷きながら、「それは過活動膀胱の典型的な症状ですね」と言いました。過活動膀胱とは、膀胱に尿が十分に溜まっていないにもかかわらず、膀胱が勝手に収縮してしまい、突然の強い尿意(尿意切迫感)や、頻尿を引き起こす病気だそうです。私の悩みは、気のせいでも、精神的なものでもなく、治療できる病気だったのです。その日から、私の治療が始まりました。処方されたのは、膀胱の異常な収縮を抑えるための飲み薬。そして、先生から指導されたのが、「骨盤底筋トレーニング」でした。これは、尿道を締める役割を持つ骨盤底筋を、意識的に鍛える体操です。毎日、テレビを見ながら、気づいた時に、キュッと締めたり緩めたりを繰り返しました。薬の効果と、地道なトレーニングの成果は、一ヶ月もすると明らかになってきました。急にトイレに駆け込む回数が減り、尿意を少し我慢できるようになったのです。それは、私にとって大きな自信となりました。今では、トイレの場所を気にすることなく、旅行や映画を心から楽しんでいます。もし、かつての私と同じように、トイレの回数で行動が制限されている女性がいたら、伝えたいです。その悩みは、決して特別なことではありません。勇気を出して、専門家の扉を叩いてみてください。

  • インフルエンザの予防!子供と家族ができること

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    インフルエンザが流行する季節、子供を感染から守るために、そして家庭内での感染拡大を防ぐために、私たち家族ができることは何でしょうか。日々の生活の中での、基本的ながらも効果的な予防策を改めて確認してみましょう。まず、最も有効な予防策として挙げられるのが、「予防接種(ワクチン)」です。インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではありませんが、もし感染してしまった場合に、発症の可能性を低減させたり、発症しても重症化したり、合併症を引き起こしたりするのを防ぐ効果が期待できます。特に、まだ体力や免疫力が十分でない子供にとっては、重症化を防ぐという意味で、非常に重要な役割を果たします。家族全員で接種することで、家庭内にウイルスが持ち込まれるリスクを減らすことができます。次に、日常生活で徹底したいのが、ウイルスを体内に侵入させないための「物理的な防御」です。その基本は、「手洗い」です。ウイルスは、ドアノブや電車のつり革、おもちゃなど、様々な場所に付着しています。外出から帰った後、食事の前、トイレの後など、こまめに石鹸と流水で手を洗う習慣を、子供にもしっかりと身につけさせましょう。アルコールベースの手指消毒剤の利用も効果的です。また、流行期に人混みへ出かける際は、「マスクの着用」も、飛沫の吸い込みを防ぐ上で有効です。そして、体の「免疫力を高める」ことも、ウイルスに負けない体を作るために不可欠です。日頃から、十分な睡眠と、バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、タンパク質やビタミン類は、免疫細胞を活性化させるのに役立ちます。また、空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜の防御機能が低下し、ウイルスが侵入しやすくなります。加湿器などを使って、室内の湿度を五十から六十パーセント程度に保つことも、有効な予防策の一つです。これらの基本的な対策は、インフルエンザだけでなく、他の様々な感染症から子供と家族を守るための土台となります。日々の地道な積み重ねが、健康な冬を過ごすための最も確実な方法なのです。

  • そのトイレの回数は病気のサインかも

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    トイレの回数が多いという症状は、ありふれているだけに、つい「水分を摂りすぎたかな」「体が冷えたかな」と、日常生活の中の原因探しで完結してしまいがちです。しかし、頻尿は、体の内部で起きている、より深刻な病気が原因で引き起こされている場合があります。特に、内科系の疾患が隠れているサインとして、見逃してはならないケースがあるのです。まず、頻尿とともに注意すべき最も代表的な症状が、「異常な喉の渇き(口渇)」です。もし、トイレの回数が増えただけでなく、同時に、水を飲んでも飲んでも喉が渇いて仕方がない、飲む水の量が明らかに増えた、と感じる場合は、「糖尿病」を強く疑う必要があります。糖尿病になると、血液中の糖分(血糖値)が高くなります。すると、体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿の量が増え、結果としてトイレの回数が多くなります。そして、大量の水分が尿として排出されるため、体は脱水状態になり、強い喉の渇きを覚えるのです。このサインに加えて、体重が急に減少したり、体がだるかったりする場合は、速やかに内科を受診し、血糖値の検査を受けるべきです。また、高血圧の治療を受けている方も注意が必要です。高血圧の薬の中には、「利尿薬」という種類の薬が含まれていることがあります。これは、体内の余分な塩分と水分を尿として排出させることで、血圧を下げる薬です。そのため、副作用としてトイレの回数が増えることがあります。もし、新しい血圧の薬を飲み始めてから頻尿になった場合は、主治医に相談してみましょう。さらに、心臓の機能が低下する「心不全」や、腎臓の機能が悪化する「腎不全」でも、体の水分バランスが崩れ、頻尿、特に夜間頻尿が起こることがあります。これらの場合は、足のむくみや息切れといった、他の症状を伴うことが多くあります。このように、トイレの回数が多いという一つの症状も、他の全身症状と合わせて考えることで、体の内部からの重要な警告信号となり得ます。頻尿以外の体の変化にも、ぜひ目を向けてみてください。

  • 咳が止まらない時の診療科選び、私の結論

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    長引く咳に悩まされ、どの病院へ行けば良いのかと、インターネットで検索を繰り返す日々。内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科…選択肢は多いけれど、一体どこが自分にとっての正解なのか。そんな「何科問題」に、私なりの結論を出した経験をお話ししたいと思います。私の場合は、風邪をひいた後、痰の絡む湿った咳と、常に喉の奥に何かが張り付いているような不快感が、一ヶ月以上も続いていました。最初は、かかりつけの内科で咳止めをもらっていましたが、一向に改善しません。次に私が向かったのは、咳の専門家である呼吸器内科でした。レントゲンや呼吸機能検査を受けましたが、結果は「異常なし」。「感染後咳嗽でしょう」との診断で、気管支拡張薬などを処方されましたが、それでも症状は変わりませんでした。途方に暮れていた時、ふと、あることに気づきました。それは、横になると咳がひどくなること、そして、日中も鼻をすする癖があることです。「もしかして、原因は鼻なのでは?」そう考えた私は、最後の望みをかけて、耳鼻咽喉科を受診しました。ファイバースコープで鼻の奥を診てもらった瞬間、医師は言いました。「ああ、ひどい副鼻腔炎ですね。鼻水が全部、喉に落ちていますよ(後鼻漏)。これが咳の原因です」。原因が判明した瞬間、目の前がパッと開けたような気がしました。その後、鼻の治療を開始すると、あれだけ私を悩ませていた頑固な咳は、嘘のように少しずつ収まっていったのです。この経験から私が学んだのは、診療科選びに「絶対の正解はない」ということ、そして、「自分の症状を最もよく知っているのは自分自身だ」ということです。私の場合は、鼻の症状がヒントとなり、最終的に耳鼻咽喉科にたどり着きました。もし、あなたの咳が夜間や早朝に集中し、ヒューヒューという音がするなら、呼吸器内科が正解かもしれません。大切なのは、自分の咳のタイプや、伴う症状を注意深く観察し、仮説を立ててみること。そして、一つの科で改善しない場合は、別の可能性を考えて、違う科を受診してみる柔軟な視点を持つことです。あなたの咳の悩みからの解放は、あなた自身の観察眼と、行動力にかかっているのかもしれません。

  • インフルエンザの登園・登校は何日休む?

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    子供がインフルエンザと診断されたら、家庭での看病とともに、親が考えなければならないのが、いつから保育園や学校に再び通わせることができるのか、という問題です。インフルエンザは、感染力が非常に強い「第二種の感染症」として、学校保健安全法で出席停止期間が明確に定められています。これは、本人の回復のためだけでなく、集団生活の場での感染拡大を防ぐために、非常に重要なルールです。現在の出席停止期間の基準は、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあっては三日)を経過するまで」とされています。少し複雑に聞こえますが、二つの条件を両方ともクリアする必要がある、ということです。具体的に見ていきましょう。まず、「発症した後五日」という条件です。ここでの「発症日」は、症状(通常は発熱)が出現した日を「〇日目」として数えます。例えば、月曜日に発熱した場合、月曜が〇日目、火曜が一日目となり、五日を経過するのは、土曜日ということになります。そして、もう一つの条件が「解熱した後二日(幼児は三日)」です。ここでの「解熱」とは、三十七度五分未満の平熱になった状態を指します。例えば、水曜日に熱が下がった場合、木曜日が解熱後一日目、金曜日が二日目となります。この二つの条件を、両方とも満たした時点で、初めて登園・登校が再開できます。先ほどの例で言えば、月曜に発症し、水曜に解熱した場合、「発症後五日」の条件を満たすのは土曜日から、「解熱後二日」の条件を満たすのは金曜日からとなるため、より遅い方、つまり土曜日から登校可能、ということになります。もし、木曜まで熱が続いた場合は、「解熱後二日」は土曜日となり、登校できるのは同じく土曜日からとなります。この基準は、あくまで最低限のものです。登園・登校を再開する際には、医師の診察を受け、周囲への感染力がないことを証明する「治癒証明書」や「登園許可書」の提出を求められることがほとんどです。自己判断で登校させず、必ず医師の許可を得るようにしましょう。

  • そのめまいと吐き気、脳卒中のサインかも?危険な症状の見分け方

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    めまいと吐き気は、多くの場合、命に別状のない耳の病気が原因です。しかし、ごく稀に、その背後に「脳卒中(脳梗塞や脳出血)」という、一刻を争う、命に関わる病気が隠れていることがあります。特に、体のバランスを司る「小脳」や「脳幹」といった部分に脳卒中が起きた場合、耳の病気と非常によく似た、激しいめまいと吐き気を引き起こすのです。「どうせ耳の病気だろう」と自己判断してしまうと、手遅れになりかねません。ここでは、危険な脳卒中のサインを、耳の病気と見分けるための重要なチェックポイントを解説します。以下の症状が、めまいと吐き気に加えて、一つでも当てはまる場合は、絶対に様子を見ずに、すぐに救急車を呼んでください。激しい頭痛:特に、「後頭部をハンマーで殴られたような」と表現される、突然の激しい頭痛は、くも膜下出血などの危険なサインです。ろれつが回らない、言葉が出にくい:うまく喋れない、単語が出てこないといった「言語障害」。片側の手足や顔の麻痺、しびれ:「片方の腕に力が入らない」「箸をうまく持てない」「顔の半分が歪んで、口の片側から水がこぼれる」。物が二重に見える(複視):片方の目で隠しても、物が二重に見える。まっすぐ歩けない、立てない:ふらついて、まっすぐ歩くことができず、片側に倒れそうになる。耳の病気でも歩行は困難になりますが、脳が原因の場合は、その不安定さがより顕著です。意識障害:呼びかけへの反応が鈍い、意識が朦朧としている。これらの神経症状は、脳の機能が障害されていることを示す、極めて重要なサインです。耳が原因のめまいの場合は、どんなにめまいがひどくても、意識ははっきりしており、手足の麻痺やろれつ障害が起こることはありません。これが、両者を見分ける上での、決定的な違いです。また、高齢者や、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の持病がある方は、脳卒中のリスクが元々高いため、より一層の注意が必要です。めまいと吐き気に、「神経症状」が伴うか否か。この一点を、冷静に、しかし迅速に判断することが、あなたの、あるいはあなたの大切な人の命を救うことに繋がるのです。

  • なぜ治らない?肋軟骨炎が長引く原因と対策

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    「肋軟骨炎と診断され、薬を飲んで安静にしているのに、もう何週間も痛みが引かない」。そんな、長引く症状に悩まされている方もいるかもしれません。肋軟骨炎は、通常、数週間から数ヶ月で自然に治癒すると言われていますが、人によっては、痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたすことがあります。なぜ、症状が長引いてしまうのでしょうか。その原因は、いくつか考えられます。まず、最も大きな原因が「安静が保てていない」ことです。肋軟骨炎の治療の基本は、炎症が起きている部分に負担をかけないことです。しかし、仕事や家事、育児などで、どうしても胸郭に力が入る動作を続けなければならない場合、治りかけてはまた炎症がぶり返す、という悪循環に陥ってしまいます。特に、慢性的な咳や、くしゃみが多いアレルギー体質の方は、意図せずして常に患部に衝撃を与え続けていることになり、治癒を妨げる大きな要因となります。次に、「姿勢の悪さ」も、治癒を遅らせる原因の一つです。猫背や、長時間同じ姿勢でのデスクワークは、胸郭の柔軟性を低下させ、特定の肋軟骨に持続的なストレスをかけ続けます。炎症が起きている場所に、常に負担がかかるような姿勢を続けていては、なかなか痛みは改善しません。また、精神的な「ストレス」や「不安」も、痛みを長引かせる要因として無視できません。「心臓の病気ではないか」という不安が根底にあると、痛みに対して過敏になり、脳が痛みを強く感じやすくなってしまうことがあるのです。では、どうすれば良いのでしょうか。対策としては、まず、医師と相談の上、痛みを誘発する動作を特定し、それを徹底的に避ける工夫をすることです。必要であれば、バストバンドなどで胸郭を軽く固定するのも有効です。そして、意識的に姿勢を正すこと。ストレッチなどで、胸や背中の筋肉の柔軟性を取り戻すことも大切です。理学療法士の指導のもと、正しいリハビリテーションを行うのも良いでしょう。そして、この病気は必ず治る良性のものだと正しく理解し、過度な不安を抱え込まないこと。痛みが強い場合は、我慢せずにペインクリニックなどで神経ブロック注射を検討するのも一つの手です。焦らず、根気よく、多角的なアペローチで取り組むことが、長引く痛みからの脱出の鍵となります。

  • その頬の腫れ、本当におたふく?似ている病気との違い

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    耳の下から顎にかけて、片側あるいは両側がパンパンに腫れている。この症状を見ると、誰もが「おたふくかぜ」を疑います。しかし、耳下腺が腫れる病気は、おたふくかぜだけではありません。中には、全く異なる治療が必要な病気も隠れているため、自己判断は禁物です。ここでは、おたふくかぜと症状が似ている、他の病気について解説します。まず、最も鑑別が必要なのが、「反復性耳下腺炎」です。これは、おたふくかぜのようにウイルス感染が原因ではなく、アレルギーや、唾液のうっ滞、あるいは口腔内の細菌などが原因で、耳下腺の炎症を何度も繰り返す病気です。特に、子供によく見られます。おたふくかぜとの大きな違いは、「何度も繰り返す」という点です。おたふくかぜは、一度かかれば終生免疫が得られるため、二度かかることは、まずありません。反復性耳下腺炎は、数ヶ月から数年おきに、同じように耳下腺が腫れるのが特徴です。次に、「化膿性耳下腺炎」です。これは、主に口の中の細菌が、唾液腺の管を逆流して耳下腺に感染し、膿がたまってしまう病気です。おたふくかぜの腫れが、比較的弾力があるのに対し、化膿性耳下腺炎の腫れは、より硬く、赤みや熱感を伴い、押すと激しい痛みがあります。抗生物質による治療が必要となります。また、「唾石症(だせきしょう)」も、耳下腺や顎下腺の腫れの原因となります。これは、唾液の成分が固まって石(唾石)ができ、唾液の通り道を塞いでしまう病気です。食事の時など、唾液がたくさん作られるタイミングで、急に腺が腫れて痛むのが特徴です。さらに、シェーグレン症候群のような「自己免疫疾患」や、稀ではありますが「耳下腺腫瘍(良性・悪性)」なども、耳下腺の腫れを引き起こします。これらの病気は、いずれも専門家による診断が不可欠です。血液検査でムンプスウイルスの抗体を調べたり、超音波検査やCT検査で腺の内部の状態を詳しく観察したりすることで、おたふくかぜとの鑑別を行います。頬の腫れに気づいたら、安易に「おたふくかぜだろう」と決めつけず、必ず内科や耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断を受けるようにしてください。