春先、まだ肌寒さが残る頃に、家の中で一匹だけ、少し大きめの蜂がゆっくりと飛んでいるのを見かけたことはありませんか。その蜂、もしかすると冬眠から目覚めたばかりの「女王蜂」かもしれません。この一匹の存在は、これからの季節、あなたの家が蜂の脅威に晒されるかどうかの分かれ目となる、重要なサインです。アシナガバチやスズメバチの社会では、女王蜂だけが成虫の姿で冬を越します。彼女たちは、朽ち木の中や土の中などで休眠状態で冬を過ごしますが、時には人家の屋根裏や壁の隙間、物置の隅などを越冬場所として利用することがあります。そして、春になり気温が上がると、冬眠から目覚めて活動を開始します。暖房が効いた暖かい室内は、女王蜂が春の到来と勘違いして目を覚ますきっかけとなりやすいのです。これが、春先に家の中で一匹だけ蜂が見つかる主な理由です。冬眠から目覚めたばかりの女王蜂は、まだ体力が回復しておらず、動きも緩慢です。また、守るべき巣も働き蜂もいないため、攻撃性は非常に低く、こちらから手を出さない限り、人を襲ってくることはほとんどありません。しかし、この一匹を甘く見てはいけません。彼女の使命は、新しい巣を作り、新たなコロニーを築くことです。もし家の中から無事に飛び立っても、あなたの家の軒下やベランダを格好の巣作り場所として記憶し、数日後に戻ってきて巣作りを始めてしまう可能性があるのです。春先に家の中で女王蜂らしき蜂を見つけたら、それはあなたの家が蜂にとって「越冬しやすく、巣作りに適した環境」であることの証拠です。安全に外へ逃がしてあげた後は、軒下やベランダなど、巣を作られやすい場所に蜂の忌避スプレーを散布するなど、予防策を講じておくことを強くお勧めします。あの一匹が、夏の悪夢の始まりにならないように、先手を打つことが重要です。
蜂が一匹だけ家の中に。それは女王蜂かもしれない