夜、ぐっすり眠っている最中に、尿意で何度も目が覚めてしまう「夜間頻尿」。睡眠が中断されることで、深い眠りが得られず、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下を引き起こす、非常に厄介な症状です。単に「歳のせい」と諦めてしまう前に、その原因と対策を知り、質の高い睡眠を取り戻しましょう。夜間頻尿の原因は、一つではありません。まず、最もシンプルな原因が、「夜間の水分や塩分の摂りすぎ」です。特に、寝る直前に水を飲んだり、利尿作用のあるアルコールを摂取したりする習慣は、夜間の尿量を増やす直接的な原因となります。また、塩分の多い食事は喉の渇きを招き、結果として水分摂取量が増えるため、夕食の塩分を控えることも重要です。次に、加齢による体の変化も大きな要因です。年を重ねると、夜間に尿の量を濃縮して減らす働きを持つ「抗利尿ホルモン」の分泌が低下します。これにより、夜間にも昼間と同じように尿が作られてしまい、トイレに起きる回数が増えるのです。さらに、男性であれば「前立腺肥大症」、女性であれば「過活動膀胱」といった、泌尿器科の病気が原因となっていることも少なくありません。これらの病気は、膀胱が尿を十分に溜められなくなるため、夜間頻尿を引き起こします。意外な原因として、「睡眠時無呼吸症候群」も挙げられます。睡眠中に無呼吸状態になると、胸腔内の圧力が変化し、心臓から利尿を促すホルモンが分泌されるため、夜間の尿量が増えることが知られています。大きないびきをかく人は、こちらも疑ってみる必要があります。では、どのような対策が有効なのでしょうか。まず、就寝の二時間前から三時間前には、水分摂取を控えることを徹底しましょう。夕食は塩分控えめを心がけ、寝る前のアルコールは厳禁です。日中にウォーキングなどの適度な運動をすることも、夜間の尿量減少に効果的です。また、足のむくみも夜間頻尿の原因となるため、夕方以降に三十分ほど、足を心臓より高くして横になる時間を作るのも良い方法です。これらの対策を試しても改善しない場合は、背後に治療すべき病気が隠れている可能性があります。泌尿器科など、専門医に相談することをお勧めします。