突然、激しいめまいと吐き気に襲われた時、病院へ行くまでの間、あるいは救急車を待つ間、少しでも症状を和らげるために、自分でできることはあるのでしょうか。パニックにならず、正しい応急処置を知っておくことで、苦痛を軽減し、安全を確保することができます。まず、最も重要なことは「安全な場所で安静にする」ことです。めまいでふらついている状態で無理に動こうとすると、転倒して頭を打つなど、二次的なケガをする危険性が非常に高くなります。その場に座り込むか、あるいは、すぐに横になれる場所があれば、ゆっくりと横になりましょう。壁や家具に寄りかかるのも良い方法です。車の運転中であれば、ハザードランプをつけて、速やかに安全な場所に停車してください。次に、「楽な姿勢をとる」ことです。横になる場合は、クッションや枕を使って、頭を少し高くすると、吐き気が和らぐことがあります。衣服のベルトやネクタイなどを緩めて、体をリラックスさせましょう。部屋は、できるだけ暗くし、静かな環境を保つのが理想です。テレビやスマートフォンの光、大きな音といった、外部からの刺激は、めまいを悪化させる原因となります。目を閉じている方が楽であれば、無理に開けている必要はありません。吐き気が強い場合は、顔を横に向けて、吐瀉物(としゃぶつ)が喉に詰まらないようにしましょう。洗面器やビニール袋などを、手の届く場所に用意しておくと安心です。そして、「水分補給」も大切ですが、焦る必要はありません。嘔吐を繰り返している時に無理に水分を摂ろうとすると、かえって吐き気を誘発してしまうことがあります。少し吐き気が落ち着いてきたら、水やお茶、経口補水液などを、スプーンで少しずつ、ゆっくりと口に含むようにしましょう。注意点として、自己判断で市販の酔い止め薬などを飲むのは避けてください。めまいの原因によっては、症状を悪化させたり、医師の正確な診断を妨げたりする可能性があります。まずは、安全確保と安静を最優先し、落ち着いて専門家の助けを待つこと。これが、発作時にできる、最も賢明な対処法です。