健康知識と医療の基本をわかりやすく解説

2025年10月
  • そのトイレの回数は病気のサインかも

    医療

    トイレの回数が多いという症状は、ありふれているだけに、つい「水分を摂りすぎたかな」「体が冷えたかな」と、日常生活の中の原因探しで完結してしまいがちです。しかし、頻尿は、体の内部で起きている、より深刻な病気が原因で引き起こされている場合があります。特に、内科系の疾患が隠れているサインとして、見逃してはならないケースがあるのです。まず、頻尿とともに注意すべき最も代表的な症状が、「異常な喉の渇き(口渇)」です。もし、トイレの回数が増えただけでなく、同時に、水を飲んでも飲んでも喉が渇いて仕方がない、飲む水の量が明らかに増えた、と感じる場合は、「糖尿病」を強く疑う必要があります。糖尿病になると、血液中の糖分(血糖値)が高くなります。すると、体は余分な糖を尿として排出しようとするため、尿の量が増え、結果としてトイレの回数が多くなります。そして、大量の水分が尿として排出されるため、体は脱水状態になり、強い喉の渇きを覚えるのです。このサインに加えて、体重が急に減少したり、体がだるかったりする場合は、速やかに内科を受診し、血糖値の検査を受けるべきです。また、高血圧の治療を受けている方も注意が必要です。高血圧の薬の中には、「利尿薬」という種類の薬が含まれていることがあります。これは、体内の余分な塩分と水分を尿として排出させることで、血圧を下げる薬です。そのため、副作用としてトイレの回数が増えることがあります。もし、新しい血圧の薬を飲み始めてから頻尿になった場合は、主治医に相談してみましょう。さらに、心臓の機能が低下する「心不全」や、腎臓の機能が悪化する「腎不全」でも、体の水分バランスが崩れ、頻尿、特に夜間頻尿が起こることがあります。これらの場合は、足のむくみや息切れといった、他の症状を伴うことが多くあります。このように、トイレの回数が多いという一つの症状も、他の全身症状と合わせて考えることで、体の内部からの重要な警告信号となり得ます。頻尿以外の体の変化にも、ぜひ目を向けてみてください。

  • 咳が止まらない時の診療科選び、私の結論

    医療

    長引く咳に悩まされ、どの病院へ行けば良いのかと、インターネットで検索を繰り返す日々。内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科…選択肢は多いけれど、一体どこが自分にとっての正解なのか。そんな「何科問題」に、私なりの結論を出した経験をお話ししたいと思います。私の場合は、風邪をひいた後、痰の絡む湿った咳と、常に喉の奥に何かが張り付いているような不快感が、一ヶ月以上も続いていました。最初は、かかりつけの内科で咳止めをもらっていましたが、一向に改善しません。次に私が向かったのは、咳の専門家である呼吸器内科でした。レントゲンや呼吸機能検査を受けましたが、結果は「異常なし」。「感染後咳嗽でしょう」との診断で、気管支拡張薬などを処方されましたが、それでも症状は変わりませんでした。途方に暮れていた時、ふと、あることに気づきました。それは、横になると咳がひどくなること、そして、日中も鼻をすする癖があることです。「もしかして、原因は鼻なのでは?」そう考えた私は、最後の望みをかけて、耳鼻咽喉科を受診しました。ファイバースコープで鼻の奥を診てもらった瞬間、医師は言いました。「ああ、ひどい副鼻腔炎ですね。鼻水が全部、喉に落ちていますよ(後鼻漏)。これが咳の原因です」。原因が判明した瞬間、目の前がパッと開けたような気がしました。その後、鼻の治療を開始すると、あれだけ私を悩ませていた頑固な咳は、嘘のように少しずつ収まっていったのです。この経験から私が学んだのは、診療科選びに「絶対の正解はない」ということ、そして、「自分の症状を最もよく知っているのは自分自身だ」ということです。私の場合は、鼻の症状がヒントとなり、最終的に耳鼻咽喉科にたどり着きました。もし、あなたの咳が夜間や早朝に集中し、ヒューヒューという音がするなら、呼吸器内科が正解かもしれません。大切なのは、自分の咳のタイプや、伴う症状を注意深く観察し、仮説を立ててみること。そして、一つの科で改善しない場合は、別の可能性を考えて、違う科を受診してみる柔軟な視点を持つことです。あなたの咳の悩みからの解放は、あなた自身の観察眼と、行動力にかかっているのかもしれません。