ある日の入浴中、私は自分の左足の付け根付近に、ピンポン玉ほどの柔らかい膨らみがあることに気が付きました。痛みは全くありませんでしたが、指で押すと「ぬるり」とした感覚と共に、その膨らみはお腹の中へと消えていきました。しかし、再び立ち上がると数分後にはまた同じ場所が膨らんでくるのです。最初は皮膚の腫瘍か、あるいはリンパ節の腫れではないかと考え、インターネットで必死に検索を繰り返しました。そこで目にした「脱腸」という言葉。それは子供の病気だと思い込んでいた私にとって、衝撃的な事実でした。検索結果には「外科」や「消化器外科」を受診するようにと書かれていましたが、正直なところ、大きな手術を連想させるそれらの診療科に足を運ぶのは非常に勇気がいりました。泌尿器科の方が恥ずかしくないのではないか、あるいは近くの内科でとりあえず診てもらうのが無難ではないかと数日間悩みましたが、やはり「腸の問題であれば専門家に診てもらいたい」という思いが勝り、近所の消化器外科クリニックを受診することに決めました。受付で症状を伝える際も少し気恥ずかしさがありましたが、看護師さんは非常に慣れた様子で対応してくれ、その時点で少し心が軽くなったのを覚えています。診察室で先生は、立位と臥位の両方で丁寧に触診を行い、エコー検査を交えながら「これは鼠径ヘルニア、いわゆる脱腸ですね」と明快に診断してくれました。先生の説明によれば、腹筋の膜が加齢や過度の負担で弱くなり、そこから腸が飛び出している状態で、薬で治すことはできないとのことでした。外科を受診したことで、自分の体の中で何が起きているのかが正確に分かり、今後の治療方針についても具体的に相談することができました。もし、あのまま恥ずかしがって受診を先延ばしにしていたら、いつ起こるか分からない腹痛に怯えながら過ごすことになっていたでしょう。外科という響きに身構えてしまう気持ちはよく分かりますが、実際に足を運んでみれば、そこには専門的な知識を持った医師がいて、私の悩みを解決するための確かな技術を提供してくれました。今では手術を終え、以前と変わらぬ快適な毎日を送っていますが、あの時勇気を出して外科を選んだ自分の判断は間違っていなかったと確信しています。