二十代の頃の私は、常に脇の汗シミに怯えて生きていました。朝、家を出る前に鏡を見て、どんなに爽やかなコーディネートをしても、駅に着く頃には脇の下に拳大の濡れた跡ができているのです。私にとって「脇汗がひどい」というのは単なる比喩ではなく、文字通り人生を制限する呪縛でした。夏はもちろんのこと、冬の寒い時期であっても、暖房の効いた室内に入った瞬間にジワリと汗が吹き出し、厚手のセーターさえも貫通してしまうほどでした。外出時には必ず予備のインナーを二枚は持ち歩き、駅の多目的トイレで人目を忍んで着替えるのが日常茶筆でした。市販の制汗剤は片っ端から試しましたし、海外製の強力な塩化アルミニウム液も取り寄せましたが、肌が荒れて痒みに耐えられず、結局は気休め程度の対策しかできませんでした。友人とのランチでも、上着を脱ぐことができないため、冬でも汗だくで食事を楽しむ余裕などありませんでした。そんな私の転機となったのは、ある日インターネットで見つけた「多汗症外来」という言葉でした。最初は「汗くらいで病院に行くなんて」と躊躇しましたが、カウンセリングで「あなたの悩みは医学的に解決できるレベルですよ」と言われた瞬間、張り詰めていた心がスッと軽くなったのを覚えています。精密検査の結果、私の発汗量は標準の数倍に達していることが数値で証明されました。治療として、まずは保険適用の新しい塗り薬を使い始め、さらに定期的なボトックス注射を受けるようになりました。すると、あれほど私を苦しめていた脇の湿り気が、まるで嘘のようにピタリと止まったのです。初めてグレーのTシャツを着て一日中街を歩けた日の感動は、一生忘れられません。脇汗がひどいという現実は、私の性格を内向的にさせ、自信を奪っていましたが、医学の力を借りることで、ようやく自分本来の明るさを取り戻すことができました。もし、今かつての私と同じように、脇のシミを隠すために黒い服ばかり選んでいる方がいたら、伝えたいです。それはあなたのせいではなく、体のちょっとしたエラーに過ぎません。そして、そのエラーは今の医療で十分に修正可能なのです。一歩踏み出して専門医の門を叩く勇気が、あなたの世界を劇的に明るく変えてくれるはずです。
毎日着替えを持ち歩いていた私の脇汗克服体験記