医療費がどのように計算され、十割負担の際に具体的にいくらになるのか、診療報酬点数の具体的な数字を挙げて解説します。まず、病院に行くと必ず発生するのが「初診料」です。これは現在二百八十八点と定められており、十円をかけると二千八百八十円になります。もしこれがクリニックではなく、紹介状なしで二百床以上の大病院を受診した場合は、これに加えて「選定療養費」として七千円以上が加算されることがあり、いきなり一万円を超えるスタートとなります。次に検査です。一般的な末梢血検査(血算)は二十一点、生化学検査を十項目程度行うと百点前後になります。ここに判断料として百数十点が加わります。胸部レントゲンを一方向から撮影すると、撮影料と診断料を合わせて二百十点程度です。これだけで合計五百点近くになり、五千円が加算されます。処方箋が発行されると、処方箋料が六十八点(六百八十円)。薬局ではさらに調剤基本料や薬学管理料、そして薬剤そのものの費用がかかります。例えば、一般的な抗生物質や鎮痛剤を五日分処方された場合、薬局での十割負担額は三千円から五千円程度になることが多いです。これらをすべて合計すると、初診で軽い検査と薬を受けただけで、一万五千円前後の請求書が出来上がります。もし、インフルエンザの迅速検査(二百点)を行ったり、点滴(数百点)を受けたりすれば、二万円の大台はすぐそこです。もっと高額な例を挙げれば、腹部CTスキャンは一回千点前後、MRIは一千五百点から二千点近くになります。つまり、CTを撮るだけで一万円、MRIなら二万円が診察代とは別に上乗せされるのです。十割負担という世界では、すべての医療行為がそのままダイレクトに家計に直撃します。三割負担のときには四百五十円にしか見えなかった初診料が、実際には二千八百八十円という価値を持っていることを知ることは、医療資源を大切にする意識にもつながります。計算の具体例を知っておくことは、病院の会計で提示された金額が妥当なものであるかを判断するための知的な防衛手段となり、高額な医療費に対する漠然とした恐怖を取り除いてくれるでしょう。