食事をしている最中や、顔を洗っているとき、あるいは風が顔に当たった瞬間に、まるでものすごい電圧の電流を浴びせられたような激痛が走る。このような症状がある場合、まず疑われるのは三叉神経痛という病気です。この痛みの特徴は、顔の片側にのみ、数秒から数十秒という短時間ながら、耐え難いほどの鋭い痛みが繰り返されることにあります。多くの患者さんは、最初はこの痛みをひどい虫歯だと勘違いし、歯科を受診されます。実際に、歯科医師も三叉神経痛の初期症状を歯痛と見分けるのが難しく、何本も歯を削ったり抜いたりした後で、ようやく「これは歯の病気ではない」と判明する悲劇も少なくありません。もし、歯科で検査を受けても歯に異常が見つからず、それでも顔の痛みが引かない場合は、迷わず脳神経外科を受診してください。三叉神経痛の主な原因は、脳の根元で血管が三叉神経を圧迫していることにあります。脳神経外科では、MRIを用いて血管と神経の接触具合を確認し、根本的な原因を特定します。治療法としては、まず神経の過剰な興奮を抑えるテグレトールという内服薬が用いられますが、薬の副作用が強かったり効果が不十分な場合には、血管の圧迫を取り除く手術や、放射線治療といった専門的な治療が検討されます。これらはすべて、脳神経外科の領域です。なぜ歯科ではなく脳神経外科なのか。それは、痛みの原因が「歯」という末端にあるのではなく、それを司る「神経の根元」という脳の深い部分にあるからです。一方で、顔の痛みに加えて、湿疹や赤みが現れている場合は、帯状疱疹の可能性が高いため皮膚科が受診先となります。また、顔全体が重苦しく、鼻詰まりを伴うなら耳鼻咽喉科の副鼻腔炎かもしれません。このように、顔面の痛みは診療科の選択を誤ると遠回りをしてしまう代表的な部位です。しかし、その中でも「電気が走るような一瞬の激痛」という特徴があるならば、脳神経外科が正解である可能性が極めて高いことを覚えておいてください。私たちは、その痛みがあなたの生活をどれほど破壊しているかを十分に理解しています。正しい診療科へ辿り着くことは、不必要な歯科治療を避けるだけでなく、激痛のない平穏な日常を最短で取り戻すための鍵となります。顔の痛みという恐怖から逃れるために、自分の症状をしっかりと見極め、専門の外科医に相談する勇気を持ってください。
顔面の鋭い痛みは脳神経外科か歯科か判断に迷う時の対処法