神経痛といえば腰や首の骨の問題だと考えがちですが、実は内科的な疾患が原因で神経が悲鳴を上げているケースが非常に多く存在します。私が脳神経内科の診察室で日々向き合っているのは、こうした「全身の健康状態の鏡」としての神経トラブルです。患者さんの中には、整形外科を何軒も回って原因が分からず、ようやく当科に辿り着く方も少なくありません。例えば、糖尿病は最も代表的な神経痛の原因の一つです。高血糖状態が続くと、細い血管がダメージを受け、神経に十分な栄養や酸素が行き届かなくなります。その結果、まずは足の先からジンジンとしたしびれや痛みが始まり、やがてそれは全身へと広がっていきます。これを糖尿病性神経障害と呼びますが、この場合、痛みを止める薬だけを飲んでも根本的な解決にはなりません。内科と連携して血糖値をコントロールすることこそが、最大の神経痛治療となるのです。また、あまり知られていないのがビタミン不足による神経痛です。特にビタミンB群、中でもB1やB12が欠乏すると、神経の鞘がもろくなり、電気信号が漏れ出すことで痛みが生じます。これは極端な偏食や過度の飲酒が引き起こすことがあり、脳神経内科での血液検査ですぐに判明します。さらには、自己免疫疾患、つまり自分の免疫細胞が誤って自分の神経を攻撃してしまう病気も、急激な神経痛や麻痺の原因となります。ギランバレー症候群などがその代表ですが、これらは一刻も早い専門的な診断と入院治療を必要とする緊急事態です。もし、あなたが感じる神経痛が左右対称であったり、発熱や倦怠感を伴っていたり、あるいは筋力の低下を感じたりする場合は、骨の問題ではなく「内科的な神経の病気」を疑い、早急に脳神経内科を受診すべきです。私たちは、打腱器を使った反射テストや、針筋電図検査、神経伝導速度検査といった専門的なツールを用いて、神経のどこでどのような異常が起きているのかをミリ単位で分析します。神経は一度傷つくと修復に時間がかかる非常にデリケートな組織です。「たかが神経痛」と甘く見ず、それが体全体の調和の乱れを知らせる警告音ではないかと疑うことが大切です。脳神経内科は、あなたの体の内側から神経という回路を見直し、最適な治療法を提案する場所です。痛みとしびれに隠された本当のメッセージを読み解くために、私たちは常に扉を開けて待っています。
脳神経内科の専門医が教える神経痛と内科的疾患の深い関係性