リウマチ専門医として日々患者さんと向き合う中で、治療内容と同じくらい頻繁に話題に上るのが費用の悩みです。医師の立場からも、年間数十万円に及ぶ治療費を患者さんにお願いするのは心苦しい瞬間があります。しかし、あえて申し上げたいのは、最新の薬物療法に投資することの長期的な価値についてです。かつてのリウマチ治療は、痛みが出たら鎮痛剤を飲み、関節が壊れたら手術をするという後手後手の対応でした。これでは将来的に車椅子生活になったり、介護が必要になったりするリスクが高く、それに伴う社会的、経済的損失は計り知れません。現代の治療戦略である「T2T、目標達成に向けた治療」では、早期に強力な薬剤を投入して炎症を完全に抑え込み、関節の破壊を食い止めることを目指します。生物学的製剤は確かに高価ですが、それによって仕事を続け、自立した生活を維持できるのであれば、長期的な「生涯コスト」はむしろ安く済むという考え方もできます。寝たきりになって介護費用が発生したり、手術を繰り返したりすることに比べれば、今の薬剤費は「関節の保険料」とも言えるでしょう。もちろん、私たちは患者さんの経済状況を無視して治療を強いることはありません。メトトレキサートという安価で優れた基本薬を最大限に活用しつつ、どうしても必要な場合にのみ高額な薬を提案します。また、一度生物学的製剤で寛解を達成した後は、症状を見ながら薬の量を減らしたり、投与間隔を延ばしたりする「減量、バイオフリー」という選択肢も研究されています。これによって効果を維持しながら費用を抑えることが可能になります。費用の不安があるときは、遠慮なく主治医に伝えてください。私たちは医療のプロであると同時に、患者さんの人生の伴走者でもあります。現在の経済状況と、五年後、十年後の体の健康状態のバランスをどのように取るか、一緒に最適解を見つけ出していきましょう。医療費の高さに絶望するのではなく、その対価として得られる「当たり前の日常」の価値を再確認していただきたいのです。
医師が語る最新のリウマチ治療費用と関節を守る価値