それは幼稚園の年長組でりんご病が流行りだしたというお便りを受け取ってから数日後のことでした。朝起きてきた息子の顔を見て、私はすぐに異変に気づきました。両方の頬がびっくりするほど真っ赤で、まるで雪遊びをずっとしていた後のような、あるいは誰かに両頬をギュッとつままれたような色をしていたのです。最初は熱を測りましたが、平熱より少し高いくらいで本人はいたって元気でした。小児科へ連れて行くと、先生は一目見て「りんご病ですね」とおっしゃいました。その時は、頬が赤いだけで可愛いものだなんて気楽に考えていたのですが、本当の試練はその翌日の夜から始まりました。頬の赤みが少し落ち着いてきた代わりに、腕や太ももにレース編みのような不思議な模様の発疹が広がり始め、それと同時に猛烈なかゆみが息子を襲ったのです。息子は「足がムズムズする」「腕がチクチク痛い」と言って、泣きながらあちこちを掻きむしり始めました。お風呂上がりが特にひどく、体が温まったことでかゆみが爆発したようでした。慌ててお風呂から出し、バスタオル越しに保冷剤を当てて冷やしましたが、冷やしている間はいいものの、少しでも離すとまた泣き喚くという状態が明け方まで続きました。インターネットで調べると、りんご病のかゆみは温めるのが一番良くないと書いてあり、翌日からはお風呂をシャワーだけに済ませ、ぬるめのお湯でさっと流す程度にしました。それでも布団に入ると自分の体温でかゆくなってしまうようで、寝室をキンキンに冷やし、息子には綿100パーセントの薄手のパジャマを着せ、それでもダメなときは濡らしたタオルを腕や足に巻いてあげました。小児科で処方してもらったかゆみ止めのシロップも飲ませましたが、即効性があるわけではなく、親としても代わってあげられないもどかしさで胸が締め付けられる思いでした。このかゆみは三日三晩続き、私も主人も寝不足でフラフラになりました。四日目の朝、ようやく息子が「今日はあんまり痒くないかも」と言ったときは、家族全員で安堵の溜息を漏らしました。結局、手足の発疹が完全に消えるまでには二週間近くかかり、その間は運動も控え、外遊びも日陰を選ばせて日焼け止めを塗りたくる毎日でした。一番驚いたのは、一度消えたと思った発疹が、お昼寝で少し汗をかいたり興奮して走り回ったりするだけで、またくっきりと浮き出てくることでした。ウイルス自体はもう体の中にいないはずなのに、皮膚がこれほどまでに過敏に反応し続けることに驚かされました。今回の経験で痛感したのは、りんご病はただ頬が赤くなるだけの病気ではないということです。あのかゆみの激しさは、かかった本人にしか分からない辛さがあり、親ができることはとにかく皮膚を冷やし、刺激を与えないように見守ることだけでした。今はもう跡形もなく綺麗な肌に戻りましたが、今でも真っ赤なりんごを見ると、あの眠れなかった熱い夜とかゆみに耐えた息子の涙を思い出します。
息子のりんご病で夜中に泣いたかゆみとの戦いの日々