溶連菌感染症と聞くと、多くの人が「子供が罹る病気」というイメージを抱きがちですが、実際には大人が感染することも決して珍しくありません。むしろ、大人が感染した場合の方が、喉の痛みが激甚化したり、仕事への影響から治療が中途半端になったりすることで、重症化や慢性化を招くリスクが高いと言えます。私自身、先日経験した溶連菌の喉の痛みは、これまでの人生で味わったことのないレベルのものでした。始まりは、喉に小さなトゲが刺さったような僅かな違和感でしたが、数時間のうちにそのトゲはナイフで切り裂かれるような激痛へと変わりました。鏡を見ると、扁桃腺の周辺に白い斑点が点在し、首のリンパ節までがパンパンに腫れ上がっていました。仕事が忙しい時期だったため、市販の喉薬で凌ごうとしましたが、全く効果はなく、夜には悪寒と共に高熱が襲ってきました。翌朝、ふらふらになりながら受診した内科で「溶連菌ですね」と告げられたとき、どこか安心したのを覚えています。原因が分かり、適切な抗生剤を処方されたことで、出口が見えたからです。大人にとってこの病気が厄介なのは、社会的な責任との兼ね合いです。抗生剤を飲み始めて二十四時間もすれば感染力はほぼ消失するとされていますが、体力が完全に回復するまでには数日を要します。また、仕事が溜まっているからと早々に服薬を止めてしまうと、心臓や腎臓に後遺症を残す可能性があり、これは子供よりもむしろ基礎疾患を持ち始める世代の大人にとって大きな脅威となります。喉の痛みを「単なる疲れ」や「乾燥のせい」と片付けず、細菌感染という視点を持つことが重要です。また、大人の場合はストレスや睡眠不足で免疫力が低下していることが多く、それが感染の引き金になります。家族に感染者がいなくても、満員電車やオフィスなど、不特定多数の人が集まる場所での飛沫感染は防ぎようがありません。喉の痛みが異常に強い、熱が急激に上がる、あるいは体中に赤い発疹が出るといった予兆を見逃さないようにすべきです。治療期間中は、無理をせずしっかりと体を休め、アルコールや刺激物を避けて喉をいたわることが回復への近道となります。健康管理も仕事のうちと言われますが、溶連菌のような明確な原因のある感染症に対しては、精神論ではなく科学的なアプローチで迅速に対処することが、プロフェッショナルとしての正しい姿勢なのだと身を以て知りました。
大人も油断できない溶連菌の喉の痛み