花粉症のシーズンを乗り切るための総費用を、病院派と市販薬派でシミュレーションし、科学的にどちらが安いのかを検証しました。条件として、花粉の飛散期間である二月中旬から五月中旬までの約九十日間(三ヶ月)にわたり、鼻炎薬、目薬、点鼻薬の三種を使用する場合を想定します。まず、市販薬派の場合です。主要な第二世代抗ヒスタミン薬の鼻炎薬が二週間分で二千円、これを六回購入すると一万二千円。さらに、アレルギー用目薬が一本千二百円で三本必要とし三千六百円。点鼻薬も同様に三本で三千六百円。合計で一万九千二百円となります。セルフメディケーション税制を活用したとしても、還付される額は数百円程度であり、家計への負担はかなりのものです。次に、病院受診派の場合です。まず初診時に検査を含めて二千五百円。再診料と処方箋料が二回分(六十日分と三十日分を想定)で二千円。薬代はジェネリック医薬品を選択すると、鼻炎薬九十日分で千五百円、目薬三本で六百円、点鼻薬三本で九百円。合計で約七千五百円となります。結果は明らかで、病院を利用した方が一万一千円以上も安くなるという計算になりました。この差は、服用期間が長くなればなるほど、そして処方される薬剤の種類が増えれば増えるほど広がります。また、病院では一度に複数の薬を同じ診察料の中で相談できるため、例えば「花粉症のついでに肌荒れの薬も」といったリクエストも可能です。これに対し、市販薬は症状ごとに個別の商品を購入しなければならず、一つ一つの単価に利益が乗っているため、経済的な合理性には欠けます。ただし、この比較には「通院の時間コスト」が含まれていません。平日に仕事を休んで半日潰して病院へ行くとなれば、その人の時給換算での損失は大きいかもしれません。しかし、最近は土日診療や夜間診療を行うクリニックが増えており、さらには初診からオンライン診療が可能なケースもあります。オンライン診療を利用すれば、薬は自宅に郵送され、移動の手間もありません。このように現代の医療インフラを賢く利用すれば、時間コストを最小限に抑えつつ、金銭的なコストも大幅に削減することが可能です。検証の結果、花粉症という数ヶ月単位で続く疾患において、ドラッグストアの店頭でその場しのぎの買い物を続けるのは、最も不経済な対策であると言わざるを得ません。科学的根拠に基づいた処方と、健康保険のメリットを最大限に享受することが、私たちの財布を守るための正攻法なのです。